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2019年度 卒論テーマ

本研究室では、2019年度のテーマとして学部4年生に以下のテーマを提示します。下記の過去の卒論・修論テーマや、研究内容に関してはResearchPublicationsも参考にして下さい。また、岩佐研究室では、修士・博士課程に進むと、自分の研究成果を国内学会や国際会議で発表するだけでなく、筆頭著者として論文にまとめ、英文学術誌に掲載させることができる機会があります。自分の頭で考え、そして何より実験が大好きな人を岩佐研では歓迎します。

<テーマ概要>

近年、グラフェンに代表される2次元物質が、特異な物性・機能発現の場として注目を集めている。ナノテクノロジーの発展や電気化学との融合など、様々な最先端技術を駆使することによって、20世紀には想像もできなかった様々な低次元物質系の実現と物性探索が可能となり、強相関効果、対称性の破れ、スピン軌道相互作用などに起因する新現象の発見が相次いでいる。当研究室では、1ナノメートル以下の原子層薄膜やそれらを積層させたファンデルワールスヘテロ界面など、天然には存在しえないナノスケールの新物質とその物性を探索している。物質の作製には、グラフェンで有名なスコッチテープ法や、超高真空中での薄膜作製技術である分子線エピタキシー法の両方を駆使している世界で唯一のグループである。電子線リソグラフィによる微細加工技術と電気化学界面を利用した超高密度キャリヤ制御・超強電場印加技術などと組み合わせることによって、バルク固体では実現できない構造・物性の実現と、新しい機能性の開拓を行っている。

「ツイストロニクスとフラットバンド物性」

原子層2枚を重ね合わせてファンデルワールスヘテロ界面を構成する際には、格子定数の整合ばかりか結晶方位を合わせる必要すらない。すなわち、結晶方位をひねって(ツイストして)積層することが可能である。その結果、モアレ超構造が発生したり、特別な角度(魔法角)ではバンド幅がゼロのフラットバンドが発生する。その結果、グラフェンですら磁性や超伝導が発現するようになる。このようにツイスト角を変化させて電子状態・物性を制御する新概念はツイストロニクスと呼ばれる。本研究では遷移金属ダイカルコゲナイド単層を用いたツイストロニクスに挑戦する。

「ファンデルワールスへテロ界面における対称性制御」

ファンデルワールスヘテロ構造の考え方を用いると、結晶系の異なる2つの物質(例えば六方晶と正方晶など)を接合することも可能である。このようなファンデルワールスヘテロ界面では、人工的に、結晶対称性の破れを設計通りに実現することもできる。本研究では、近年発見されてきた様々な2次元結晶(ファンデルワールス磁性体や超伝導体、2次元バレー物質等)を積層して新しいファンデルワールスへテロ界面を創成し、対称性の破れに起因する特徴的な整流特性である、電流の非相反伝導や異常光電流効果の発現とその観測に取り組む。

「ファンデルワールスへテロ界面における相制御」

分子線エピタキシー(MBE)法によるアプローチでは、結晶方位を完全に合わせたヘテロ界面やモアレ超構造を構築することができる。また、天然には存在しない準安定相の選択合成や、従来の常識を凌駕する巨大なエピタキシャル歪みの導入などにより、バルクでは見られない創発物性の実現やその制御が可能であることが最近わかってきた。本研究では、MBEによる薄膜成長を軸にして、様々な物質を組み合わせたファンデルワールスヘテロ界面の構築と新奇量子相の開拓・制御に取り組む。

「2次元超伝導スピントロニクス」

MoS2電界誘起超伝導や単層NbSe2などでは、超伝導を担うクーパー対のスピンが面直方向にロックされた結果、面内磁場に対して極めて安定な超伝導状態(イジング超伝導)が実現している。この超伝導状態は本質的にスピン三重項成分を含んでいると考えられているが、実験で実証された例はない。本研究では、このイジング超伝導状態におけるスピン輸送の実験を行い、スピン三重項成分の直接検出を目指すと共に、革新的な超伝導スピントロニクスデバイスの実現に挑戦する。


過去の学位論文題目

2018年度

修士論文
  • 「非相反応答を用いた2次元超伝導特性の解明」 板橋 勇輝
  • 「遷移金属カルコゲナイドにおける電荷移動界面の創成とドーピングによる物性開拓」 柏原 悠太
  • 「PbTeコロイド量子ドット薄膜における電気伝導・熱電特性のキャリア数制御」 秦 大樹
卒業論文
  • 「ファンデルワールス磁性体における光電気応答」 久保田 樹
  • 「共役系配位子を用いたPbSコロイド量子ドット薄膜における輸送特性」 渡邉 伊吹

2017年度

博士論文
  • 「Study on Electric-Field-Induced 2D Superconductivity (電界誘起2次元超伝導の研究)」 斎藤 優
修士論文
  • 「2D materials van der Waals epitaxy(2次元物質のファンデルワールスエピタキシー)」 王 越
  • 「Nonreciprocal charge transport in noncentrosymmetric crystals (空間反転対称性の破れた結晶における非相反電荷輸送現象)」 越川 翔太
  • 「薄膜エピタキシー技術を用いた層状超伝導体の物性研究」 松岡 秀樹
卒業論文
  • 「単層カルコゲナイドにおける光・バレー物性」 赤松 孝俊
  • 「分子線エピタキシー法による強相関遷移金属カルコゲナイド単結晶薄膜の作製」 真島 裕貴

2016年度

博士論文
  • 「反転対称性の破れた遷移金属ダイカルコゲナイド2次元物質の光・電子物性」 鈴木 龍二
  • 「Electronic phase control in two-dimensional materials (2次元物質における電子相制御)」 吉田 将郎
修士論文
  • 「Superconductivity in chiral WS2 nanotube (カイラルWS2ナノチューブにおける超伝導)」 秦 峰
  • 「2次元物質における励起子ホール効果」 恩河 大
  • 「層状窒化物における超伝導のゲート誘起とトンネル分光」 中川 裕治
卒業論文
  • 「電界誘起超伝導における非相反輸送現象」 板橋 勇輝
  • 「遷移金属ダイカルコゲナイド単結晶薄膜の輸送特性」 柏原 悠太
  • 「PbTeコロイド量子ドット薄膜の電気伝導と熱電物性」 秦 大樹
  • 「空間反転対称性の破れた単結晶カルコゲンにおける量子輸送現象」 太向 弘明

2015年度

博士論文
  • 「Electrical transport and optical functionality in two-dimensional crystals of transition-metal dichalcogenides (遷移金属カルコゲナイド二次元結晶の電気伝導と光機能)」 張 奕勁
修士論文
  • 「準粒子干渉スペクトルを用いたスペクトル関数のベイズ推定」 黒須 崇寛
  • 「二次元結晶における準安定電子相の生成と制御」 御供田 崇
卒業論文
  • 「三次元層状極性半導体における電荷-スピン輸送特性」 越川 翔太
  • 「電子ドープ型銅酸化物高温超伝導体における電界効果」 松岡 秀樹

2014年度

修士論文
  • 「低次元物質における熱電特性の電界制御」 飯塚 貴彦
  • 「Superconductivity in Ion-gated Two-dimensional Materials (二次元物質における電界誘起超伝導)」 斎藤 優
卒業論文
  • 「二次元結晶を用いたオプトバレートロニクス」 恩河 大
  • 「ZrNCl単結晶におけるインターカレーションと超伝導のその場測定」 中川 裕治
  • 「カーボンナノチューブにおけるスピン流-電流変換」 羽田 崇人
  • 「イオンゲート法による新奇超伝導体の探索」 宮崎 潤

2013年度

修士論文
  • 「二次元原子膜における結晶多形を用いたスピン/バレー分極制御」 鈴木 龍二
  • 「二次元物質ナノ薄膜の電子相転移」 吉田 将郎
卒業論文
  • 「有機-無機伝導性界面制御の研究」 井上 尚子
  • 「有機薄膜における純スピン流-電流変換のゲート制御」 濱本 敬大

2012年度

修士論文
  • 「立方晶フラーレン化合物における超伝導-絶縁体転移の研究」 竹内 裕紀
  • 「Superconductivity and Valleytronics in Nano-Flake Devices (層状ナノ薄膜の超強電場物性と新機能)」 張 奕勁
卒業論文
  • 「電解誘起超伝導の高感度非接触検出と磁場侵入長測定」 飯塚 貴彦
  • 「Nano Interface Phase Transition Device with Layered Thin Films (層状単結晶薄膜を用いたナノ界面相転移トランジスタ)」 斎藤 優
  • 「層状半導体原子膜における円二色性の電界制御」 森 彩花

2011年度

卒業論文
  • 「Electric Field Tuned Spin Orbit Interaction and Spin Polarization in Electric-Double-Layer Transistors (電気二重層トランジスタによるスピン軌道相互作用とスピン偏極の制御)」 浅川 寛太
  • 「酸化物界面二次元電子のマイクロ波応答」 福本 展大
  • 「遷移金属カルコゲナイドにおける電子相の電界制御」 吉田 将郎

2010年度

卒業論文
  • 「アルカリドープフラーレンの電子比熱」 竹内 裕紀
  • 「Ambipolar Transistor with Ultrathin Layered Transition-metal Dichalcogenide (層状カルコゲナイド単結晶超薄膜を用いた両極性トランジスタ)」 張 奕勁
  • 「Bi2Se3 単結晶超薄膜の電気伝導」 松橋 佑介
  • 「Electric Field Modulated Rashba Effect in Liquid Gated Transistors (電気二重層トランジスタによるRashba効果の電界制御)」 森本 和浩

学生主著者の論文

アンダーラインは(研究当時)岩佐研究室学生

2019年

2018年

2017年

2016年

2015年

2014年

2013年

2012年


おすすめの教科書・論文

固体物理全般
  • 「固体物理の基礎」 アシュクロフト・マーミン (吉岡書店)
  • 「局在・量子ホール効果・密度波」 長岡 洋介, 高山 一, 安藤 恒也 (岩波書店)
  • 「現代物性化学の基礎」 小川 桂一郎, 小島 憲道 (講談社)
  • 「伝導性低次元物質の化学」 日本化学会 (学会出版センター)
半導体・トランジスタ
  • 「半導体デバイス 基礎理論とプロセス技術」 S.M.ジィー (産業図書)
  • 「半導体の物理」 御子柴 宣夫 (培風館)
超伝導
  • 「Introduction to Superconductivity」 Michael Tinkham
  • 「超伝導」(朝倉物性物理シリーズ) 家 泰弘 (朝倉書店)
  • 「超伝導の基礎」 丹羽 雅昭 (東京電機大学出版局)
スピントロニクス
  • 「スピン流とトポロジカル絶縁体―量子物性とスピントロニクスの発展―」 須藤彰三・岡 真監修・齊藤英治・村上修一著 (共立出版)
レビュー論文 (学内のネットワークからダウンロード可)